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コラム

カルテのないC型肝炎患者の闘い(8)

2014年02月12日 カテゴリー:C型肝炎給付金請求訴訟

個別立証 気胸とフィブリン糊

原告各人の立証をすすめていかねばならない。
原告を叱咤激励して、担当医を捜したり、生きておられれば、会いに行ってもらうことにした。

このシリーズ(1)でご紹介した佐藤光俊さんは、頑張った。
フィブリン糊を用いての胸膜癒着術の治療を実施したS医師はすでに他界されていたが、主治医のI医師の上申書をもらうことができた。さらに、フィブリン糊により気胸の治療は、肺に通した管にフィブリン糊を注入するが、必ずレントゲン室でレントゲン画像を見ながら行なわれていたが、その場に立ち会った放射線技師の上申書ももらうことができた。
また、S医師・I医師のチームが「フィブリン糊を用いた自然気胸の治療成績」というテーマで、第46回東海地方会で発表したことが記載されている日胸疾会誌24(5),1986も佐藤さんの執念で探し出すことができた。

佐藤さんは、高校生の時の昭和55年に血気胸になり、呼吸不全かつ出血性ショックの状態で入院し、酸素吸入、輸血、気胸肺へのドレーン挿入により小康を得た。しかし、手術せずに気胸部分の膨張を鎮めるには困難な状態が続いた。 佐藤さんは、I医師から手術が最終的には必要になると言われたが、できれば手術を避けてもらいたいと頼んだどころ、フィブリン糊を使用する治療法があるといわれ、その治療法を希望した。フィブリン糊の治療法はS医師が積極的に行っていたとのことで、フィブリン糊による気胸治療の時は、I医師からS医師に担当を交替し、S医師によりフィブリン糊を使用した治療を受けた。フィブリン糊で気胸治療を受けた状況は、レントゲン室にて行い、処置するに際して治療効果を上げるために、処置中に、頻繁に体位変換をしていた。

I医師は、「当時、S浜病院では、S医師(他界)が気胸患者にフィブリン糊を用いての胸膜癒着術にての治療を積極的にしており、フィブリン糊による気胸治療の時は、S医師に担当を交替しS医師がフィブリン糊を投与することにしていた。
佐藤氏の場合、患者からの希望があったので、他と同様に私からS医師に交替し、S医師がフィブリン糊を投与し、治療経過を観察したとの報告を受けたことを記憶しています。」という書面を書いてくれた。

また、S医師と共に担当したレントゲン技師は、「当時のフィブリン糊による気胸の治療は最先端の手技手法であり、関心事の高い治療法でしたから記憶も鮮明によみがえります。S医師のフィブリン糊の投与は、肺に通した管に注入して投与し、必ずレントゲン室でレントゲン画像を見ながら行なわれており、私が放射線技師として立会いました。佐藤光俊様もレントゲン室でフィブリン糊を投与する気胸の治療を受けたことを覚えています。佐藤様は、当時学生で若く、しかも病状が重かったため覚えているのです。 当時の医師S(他界)先生・I両先生と放射線技師との仲は当然のことながら仲睦まじく、最先端の手技手法の医療業務が行なえたことを誇りに思っていました。後になり、C型肝炎の発症が生じたことはざんき慙愧のいたりです。」という書面を書いてくれた。

佐藤さんはもちろん、フィブリン糊にC型肝炎ウィルスが含まれている恐れがあるとは全く知らなかった。医師達も放射線技師も知らなかった。重篤な佐藤さんの気胸治療に、最先端の手技手法であると、誇りをもってフィブリン糊を投与し、胸部疾患学会東海地方会に発表をしたのである。フィブリノゲン製剤とトロンビン等を混合してつくるフィブリン糊。アメリカの売血によりフィブリノゲン製剤がつくられていたことを、当時、知らされていなかったのであろう。

フィブリン糊は、血管と血管を縫合する場合や腸と腸を吻合する場合等に、止血目的で使用され、それらの論文を見つけることができる。カルテの残っていない原告は、必死である。弁護団も何かよい証拠が収集できないか、必死だ。C型肝炎患者の9割ぐらいを占める、出産や外科的手術による罹患についても、頑張っている。

 



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