C型肝炎訴訟 カルテが残っていない薬害C型肝炎患者の闘い(27)
2018年03月30日 カテゴリー:C型肝炎給付金請求訴訟, コラム
C型肝炎訴訟 カルテが残っていない薬害C型肝炎患者の闘い(27)
1.春の光が眩しい。高かった青菜も少し値を下げ、土筆やふきのとうも店頭に並ぶようになった。
天候不順が常態化し、劇症肝炎のような天候がいつ来るかわからないが、地球は軸をちょっと傾けて太陽のまわりを回ってくれているので、今年も日本に春は来た。
でも、心に春が来ない人々がいる。
そういう人の代理人となって闘わなければならないというのが、マチ弁の仕事だ(実は、こんなしんどい仕事だとは知らずに弁護士になったのである。)。
2.カルテの残ってない薬害C型肝炎被害者の代理人となって、名古屋地裁に訴訟提起をしたのは、2012年12月である。名古屋が一番遅く、東京、大阪、北海道、鹿児島、熊本、広島ではすでに提訴していた。
紆余曲折の上、証人尋問にたどり着いたのは、2014年8月20日、心臓外科医の証人尋問であった。
以後、京都の外科医(胃がんがすい臓に浸潤していたケース)、金沢、長野や豊橋の産婦人科医、心臓外科医、外科医(腸と腸の吻合)、放射線技師、看護師などの医療関係者に証人になってもらった。
医師が亡くなっていたり、もう自分に連絡するなという内容証明がきたケースで、ようやく本人尋問に踏み出すことができた。法廷は2ヶ月に1回の割合で開かれる。
これまでに、医師をはじめとする医療関係者の尋問は11名(敵性証人である医師1名含む)、本人尋問(亡くなった場合はその家族)は11名にも上る。しかし、勝訴的和解は8件のみだ。まだ途は長い。
3.2018年2月20日の中日新聞の一面に、政府の大きな広報が載っていた。
(中日新聞 2018年2月20日 一面に載っていた政府広報)
引用元:政府広告オンライン
http://www.gov-online.go.jp/pr/media/paper/tsukidashi/1518.html
これでは、
(1) 手術や出産の際に大量出血し
(2) 調べたらC型肝炎に感染していることがわかった人
は、薬害C型肝炎訴訟を提起しさえすれば、給付金がもらえるとほとんどの人が思うのではないか。
ところが、実際はといえば、カルテや医師の協力がない方は、勝訴的和解ができていない。
「迅速に一律に」薬害C型肝炎被害者を救済しようというC型肝炎特別措置法の趣旨は、被告国によって踏みにじられている。
それにもかかわらず、誤解を与えたり、だますような政府広報を新聞の一面になぜ掲載するのだろうか。
この広報を見て、「私は、C型肝炎だけど、給付金はもらえますか」という電話が何件も来る。
今になって電話がくる人は、カルテがなく、医師も見つからず、という人ばかりである。
「もらえますよ」と答えられたら、どんなに楽だろうと思う。
C型肝炎患者さん達に、心の春が来るのはいつになるだろうか。