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企業再生 多数決で迅速に

2015年05月18日 カテゴリー:ニュースコラム

民事再生法の改正を視野に入れた、企業再生の新制度案が検討されています。

企業再生、多数決で迅速に
銀行以外の債権守る制度検討

政府は企業が迅速に不振事業を切り離して再生できるようにする新制度の検討に入った。取引銀行に債権の放棄を求める条件を緩め、債権者の全員一致でなくても多数決で放棄できるようにする。産業の新陳代謝を促す狙い。有識者の提言を受け、民事再生法の改正も視野に新たな枠組みを入れる方針だ。

政府の委託で産業再生機構元委員長の高木新二郎氏ら有識者の研究会が提言をまとめた。政府は成長戦略に新制度案の考え方を盛り込む。法務省、経済産業省、金融庁の3省庁が具体策を検討。法制審議会などの議論を経て民事再生法の改正を目指す。

提言は民事再生法に基づく法的整理で金融機関以外の取引先の債権を保護できる仕組みを入れるという内容だ。実現すれば、企業が短期間で債務を整理して再出発する米国型の事業再生が広がる可能性もある。

企業を再生させるための制度は私的整理の「事業再生ADR」と法的整理の「民事再生法」がある。ADRは債権者全員の同意が必要で、岡山県のバイオ企業、林原のように手続きの途中で頓挫するケースも多い。

民事再生法に基づく法的整理は全員一致でなくても多数が合意すればできるが、取引先の売掛債権も含め全ての債権をカットするのが原則だ。企業が商取引を継続できなくなり、再生そのものが難しくなるケースもある。

そこで取引先の債権は保護しながら銀行が債権を放棄する仕組みを入れる。ADRと民事再生法の手続きを連動させ、将来は制度を統合する案だ。見直しは2段階で進める。

まず企業の債務整理を決める裁判所に対し、商取引債権を保護する努力義務を課す。今でも民事再生法には債権者の5分の3が同意すれば最短1カ月で債務を整理できる簡易再生制度がある。この制度で裁判所が債権を一律カットしないよう配慮を求める「努力義務規定」を産業競争力強化法に設ける。

努力義務だけで実際に裁判所が判断を変えるか不透明な面もある。このため第2段階として、ADRと簡易再生制度を一体にした新制度を民事再生法に基づき創設すべきだと提言した。

これまで政府は私的整理の要件を緩める案を検討していたが、どの債権をカットするかを裁判所を通さずに決めるのは実際は難しい。債権者の理解を得るため、裁判所が権限を持つ法的整理で対応する方針に切り替える。

米連邦破産法11条(チャプター11)は裁判所が申請を受理した時点で債権回収を禁止するなど再生を目指す企業に配慮した仕組みとなっている。日本でも粉飾決算など経営不振となった原因を手当てすれば再建できる企業は少なくない。

ただ、民事再生法改正に向けた調整は不透明な面もある。債権者の平等な扱いは同法の根幹であり、基準を緩めれば安易な利用が出かねないと慎重な声も法曹界には根強い。現行法は売掛債権などの保護は例外的措置とし、返さないと連鎖倒産を招くような少額債権などに対象を限っている。

(引用:日本経済新聞 平成27年5月17日)