不当解雇がお金で解決できる?新制度が検討中
2015年03月26日 カテゴリー:ニュースコラム
職場に戻るかわりに金銭補償を受けられる?
不当解雇の金銭解決制度を導入する動きが始まっています。
平成27年3月25日、政府の規制改革会議は、不当であると裁判で認められた解雇を、金銭補償で解決する制度の導入をめざす意見書をまとめました。労働者が企業により不当に解雇され、泣き寝入りを迫られるという事態を防ぐ一手となるでしょう。
解雇ルールの仕組み
今回提起されている解決金制度は、事後型の制度になります。
つまり、不当解雇された労働者が、裁判で不当解雇と認められ、事後の自らの申立てによって金銭補償がされるということになります。
労働契約法16条では「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする」と定められており、金銭補償を望む労働者もいれば職場復帰を望む労働者もいるであろうということから、労働者側からの申立てのみ認めるべきだと強調されたようです。
また、今回の制度は「金さえ払えば不当解雇してもいい」ということではありません。
(前もって金銭を渡し、それを条件に解雇を行うのは「事前型の金銭解決」になります。)
決して解雇の乱用を促すものではなく、不当解雇された労働者の補償の手段として、選択肢が増えたということです。
整備の遅れている日本の制度
実は、主要先進国で金銭解決制度が整備されていないのは日本と韓国だけになります。
欧米ではすでに金銭解決制度が整備されており、補償金の上限なども各国で決められています。
グローバル化の進む現代、日本の労働者を守るだけでなく、海外企業の日本への投資を妨げないということをも一つの課題でしょう。
今後、今回の意見書が前向きに検討されていくことを祈ります。
(参考:日本経済新聞 平成27年3月26日)