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コラム

Monthly Archives: 6月 2014

C型肝炎訴訟 カルテのないC型肝炎患者の闘い(10)

2014年06月23日 カテゴリー:C型肝炎給付金請求訴訟

C型肝炎訴訟 出産とフィブリノゲン製剤 すばらしい協力医・病院

名古屋第一赤十字病院及び現在の産婦人科部長のF医師にお願いしたところ、

「昭和39年から平成3年頃まで、産婦人科領域では、「今日の治療方針」等により、学会の権威ある方達がフィブリノゲン製剤の使用を推奨しておりました。それに従って、名古屋第一赤十字病院等の病院は、フィブリノゲン製剤を購入し、産婦人科医はフィブリノゲン製剤を使用しておりました。

「当時の当院での産婦人科診療内容については、年月が経過しており、診療(録)等も残っておりませんので、詳しいことは現在ではわかりませんが、産中産後の出血量が500ml以上の場合はフィブリノゲン製剤を使用していた可能性はあります。また、分娩後弛緩性出血がある場合帝王切開子宮内胎児死亡子宮筋腫子宮頸がん卵巣がん卵巣摘出子宮全摘等でもフィブリノゲン製剤を使用していた可能性があります。DIC(播種性血管内凝固)の場合は、出血量が少なくても、フィブリノゲン製剤を使用していた可能性はあります。」

という書面(F医師の記名だけでなく、名古屋第一赤十字病院の記名捺印のあるもの)をもらうことができた。また、F医師は、会っても下さり、「早期胎盤剥離の場合も、フィブリノゲン製剤を使った可能性がある」等いろいろ教えて下さった。

名古屋第一赤十字病院には、名古屋大学医学部の医局から医師が派遣されている。名古屋大学医学部医局の縄張りは広く、愛知県下の国公立病院には名古屋大学から医師が派遣されている。また、名古屋大学医学部卒で、独立開業している医師も多い。すなわち、愛知県を中心とする東海3県では、名古屋第一赤十字病院が下さった書面のように、フィブリノゲン製剤を使用していたという実態があったのである。
名古屋第一赤十字病院からいただいたこの書面が突破口となり、他の病院や医師達が、C型肝炎で苦しんでいる原告らに対し、「フィブリノゲン製剤を使用した」「使用した蓋然性が高い」「使用した可能性がある」等という書面を下さるようになった。名古屋第一赤十字病院やF医師には、感謝してもしきれない。非常に素晴らしい病院であり、素晴らしい医師であると、原告らは思っている。

たとえば、原告Sさんと原告Oさんは、社会保険中京病院で出産したが、出産に立ち会った医師は、カルテがないので覚えていないと述べるだけであった。そこで、現在の産婦人科部長のO医師に頼んだところ、

「昭和39年から平成3年ころまで、産婦人科領域では、「今日の治療方針」等により、学会の権威ある方達によりフィブリノゲン製剤の使用が推奨されており、それに従い全国の病院でフィブリノゲン製剤が使用されていた時期がありました。  当院産婦人科の当時の診療内容については、年月が経過しているため診療内容は残されておらず詳細は現在ではわかりませんが、分娩時における出血量が500~1000ml以上の場合フィブリノゲン製剤を使用していた可能性を否定はできません。」

という中京病院の記名捺印のある書面をもらうことができた。 中京病院も、やけどの治療では、日本屈指の病院である。

名古屋第一赤十字病院も、中京病院も、出血500ml以上になると目測で思われる場合、フィブリノゲン製剤を投与したということである。
カルテのない原告団が、東京地裁で提訴した事件において、東北大学病院に勤務していた渡辺医師は、「出血量が500ccを超えたと思われる症例に投与しました。これは、周産母子部の副部長であった高橋先生から教わった方針で、私も、高橋先生と同じ投与方針でした」と書面尋問において、答えている。
熊本大学医学部付属病院や小国公立病院産婦人科に勤務していた東医師も、証人になった際、「500ミリリットルを超えて止血傾向がなければ、フィブリノゲン製剤を使います」という証言をしておられる。

病院では、どういう場合にフィブリノゲン製剤を使用するのかのおよその基準を決めていたということなので、この地域だけでなく、東北でも九州でも、全国的に、多くの病院や医院が、出血500ml以上になると思われる場合は、フィブリノゲン製剤を投与したと推定できるのではないだろうか。