名古屋の弁護士事務所 北村法律事務所

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コラム

Monthly Archives: 11月 2015

先に受贈者が死亡した場合にも、死因贈与契約が有効

2015年11月27日 カテゴリー:ニュースコラム

平成27年2月17日、水戸地方裁判所にて、死因贈与契約について、贈与者よりも先に受贈者が死亡した場合にも、死因贈与契約が有効として受贈者の相続人に財産の取得が認められる、という判決が出ました。(判例時報2269号p.84)

本件は、死因贈与契約を結んでいたとある親子の事例です。
受贈者である息子が財産を貰う前に死んでしまいましたが、死因贈与契約を生前に結んでおり、かつ贈与者である親も亡くなったのであれば、死因贈与契約により、息子は財産を手にするべきであり、息子の相続人はその財産を手にすることができる、という判決です。
親より子供の方が長生きするとは限りません。死因贈与契約の重要性が強調される事例となりました。

相続税4.9億円脱税容疑、税理士ら7人逮捕 大阪

2015年11月26日 カテゴリー:ニュースコラム

法律を悪用して脱税をする手口が増えています。

 偽造された遺言書を使い、相続した遺産を社会福祉法人に寄付したように装って相続税約4億9千万円を脱税したとして、大阪地検特捜部は22日、不動産管理業、高木孝治容疑者(73)=大阪府東大阪市=と税理士、岩上順容疑者(63)=大阪市北区=ら計7人を相続税法違反と偽造有印私文書行使の疑いで逮捕した。特捜部は認否を明らかにしていない。

ほかに逮捕されたのは会社役員、藤田浩二容疑者(41)=大阪市東成区=や落語家、西裏文雄容疑者(64)=東大阪市=ら。

逮捕容疑は、高木容疑者が2013年11月に死亡した兄(当時76)から相続した預金や有価証券、不動産など約10億5千万円相当の財産について、14年9月に大半を社会福祉法人に寄付したとする虚偽の申告書を税務署に提出。相続税約4億9千万円を脱税した疑い。

(引用:日本経済新聞 平成27年11月24日)

赤ボールペンで斜線の遺言書は「無効」 最高裁が判断

2015年11月26日 カテゴリー:ニュースコラム

遺言書を巡るトラブルが増えてきていますが、今回最高裁で出た判例が、遺言書トラブル解決の指針の一つとなりそうです。

故人が赤いボールペンで全面に斜線を引いた遺言書は有効かが争われた訴訟で、最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は20日、故人の意思を重く見て無効とする判決を言い渡した。有効とした一、二審の判決を覆した。

判決によると、広島市で開業医をしていた男性は1986年6月22日付で、自筆で署名押印した遺言書を作成。自宅兼病院の土地建物や預金など、大半の資産を息子に相続させると書き、封書に入れて金庫に保管していた。

2002年5月に男性が死亡した後に封書が見つかり、「開封しないで知り合いの弁護士に相談するか家裁に提出して公文書としてもらうこと」と付箋(ふせん)が貼ってあった。だが、封は一度開いた後にのり付けされていたうえ、中に入っていた遺言書には赤いボールペンで文書全体に左上から右下にかけて斜線が引かれていた。このため、娘が息子を相手取り、遺言書は無効だとする訴訟を起こした。

(引用:朝日新聞 平成27年11月20日)

カルテのないC型肝炎患者の闘い(17)

2015年11月09日 カテゴリー:C型肝炎給付金請求訴訟

映画「評決」を見て

ポール・ニューマン主演の「評決」を見た。医療過誤訴訟を扱った映画である。
全身麻酔は、9時間以上前に食事をした人に対してしかやってはいけないことになっている。吐瀉する恐れと、吐瀉した物が気管に詰まる恐れがあるからだ。出産のため病院に訪れた妊婦が全身麻酔をされ手術(帝王切開)されたが、心停止になり、話せない・聞こえない・立ち上がれない等の重篤な後遺症が残ってしまった。

この事件は圧倒的に原告が不利であった。被告医師2名は著明な医師であるのに対し、原告側の証人は老開業医のみ。ポール・ニューマンは著明な医師に証人を頼もうと思っていたが、被告側が手を回し、その医師は行方をくらましてしまった。裁判官も被告側につき、示談を勧めたり、被告側に有利な訴訟指揮をする。
ポール・ニューマンも、初めは示談で済まそうとしていた。相手は大病院だから相応の額はくれる。簡単に金になるいい仕事だと、そう思っていた。
しかし、実際に植物状態となってしまった被害者の悲痛な姿を目の当たりにした彼は、正義を志す。一念発起し、証人探しに奔走し始めたのである。
.何とか見つけたのが、当時その病院で働いていた看護師だ。既に病院を辞め、保母として働いていた彼女の証言は、「カルテには確かに1時間前に食事を取ったと記載した。しかし疲労が溜まっていた医師はそれをよく読まず、全身麻酔をしてしまった。そして医療事故が起きた。焦った医師は看護師に対し、『1時間前』を『9時間前』に書き換えないと、看護師を続けられなくしてやると脅した。」というのである。

何とか、その看護師に証人になってもらうことができた。しかし被告代理人弁護士は、時間稼ぎをして判例を助手に調べさせた。「看護師の持つカルテのコピーは、既にこちらが原本を証拠として提出している。証拠として認められない。」と判例を掲げて主張。被告側は、改竄したカルテの原本を先に提出していたのである。さらに「突然の証人は弾劾証拠としての証拠能力しかない。看護師の証言はすべて削除される。」という判例があると主張。被告側寄りの裁判官は、被告代理人の主張を採用し、陪審員に、この証人の証言は証拠から排除されると告げた。この裁判官が判決するのであれば、原告は確実に敗訴だ。

しかし、原告は勝訴した。一般人から選ばれた陪審員らは、正義を支持したのである。裁判官が看護師の証言を考慮しないよう伝えても、不正を目の前で証言された陪審員らの心証を覆すことはできなかった。
陪審員が「賠償額を原告の請求額より多くできるか」と裁判官に聞くシーンがあったが、被告寄りの裁判官であっても、「できます」と答えるしかなかった。

この映画を見ると、カルテがないC型肝炎訴訟の代理人である私は身につまされる。
カルテがない。医師は証人になりたがらない。それにも関わらず国は医師が生きている限り、医師の証人尋問を要求してくる。その医師がフィブリノゲン製剤等を使ったと証言しない限り、原告は勝訴できないと国は主張する。補助参加している田辺三菱(元ミドリ十字)は、フィブリノゲン製剤の病院ごとの納入実績につき、証拠を隠し、一部しか開示しない。圧倒的に原告が不利な裁判なのだ。
医師が証人になりたがらない理由は、フィブリノゲン製剤に止血剤としての効果があったというエビデンス(証明)がなかったにも関わらず医師たちが使用したため、C型肝炎になったので、医師の責任も問われかねないからである。もちろん、原告らはこの訴訟において、医師の責任を一切問うてはいない。しかし、医師は少しでも自分の責任を問われる恐れがあれば、証人にはなりたがらない。また、医師の中には医療過誤訴訟で痛い目に遭っている方もおり、医局や学会や医師会を通じて狭い医師の世界に「裁判に出ると大変なことになる」という噂が広く伝わっているからである。

それにしても、ひとりひとりの原告について、このような立証活動をしなければいけない訴訟だということを理解せず、私は引きうけてしまった。カルテのある厚生省方が救済されているのであるから、カルテのない方であっても、カルテのないことに何の責任もない方は、一律救済がすみやかにできるものだと思って代理人を引き受けてしまったのである。
真の一律救済ができる日がいつ来るのだろうか。