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コラム

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税務訴訟と噂の真相

2010年09月08日 カテゴリー:民事

年金型生命保険の課税方法が二重課税であるという最高裁判決の報道にふれ、最高裁までよく闘われたな、という感慨を持ちました。税務訴訟は、勝訴率が極めて低いと言われています。しかも、担当した弁護士や税理士、歯向かった当事者に税務調査が入るというまことしやかな噂があるのです。

しかし、近時、勝訴したケースの報道を目にすることが、かつてより増えたように思います。また、判決には至らないが、実質的な勝訴をしているケースも多いのではないかと思います。もっと情報を交換して、日本で最強の債権者に対抗する方法を共有させていただけたらと思います。

事案

亡くなった父親と、遺言でほとんどを相続した長男の2名は、主債務者A社(代表者Bは、著名な詐欺師であることが後に判明)が金融業者Cからお金を借りる際、連帯保証人になった。父親の所有土地の一部には、3億数千万円の抵当権も設定された。

Bは、「うちが介護施設の建物を建てます。あなた方は、お金を出す必要はありません。ただ、連帯保証して担保をつけさせていただければよいのです。相続税対策にもなるし、もうかります。」等と述べたが、Cに割賦返済金を2回支払ったのみで、行方をくらました。

他の弁護士に頼んで、金融業者Cを被告にして、父親と長男は訴訟提起したが、Cの不法行為性を立証できず、3億2000万円を支払うとの敗訴的和解をせざるをえなかった。

裁判の終局段階で父親が失意のうちに死亡し、長男は遺言により抵当権が設定されている本件土地を相続した。そして、その土地を売却して、約3億2000万円を金融業者Cに支払った。

そこで、本件土地を資産、3億2000万円を負債として計上して、相続税の申告をした。

後に税務調査が入った。

所轄税務署は、「父親と長男の2名が連帯保証をしていたのに、父親が全額支払ったのだから、父親は長男に対して3億2000万円の2分の1である1億6000万円の求償権がある。それは資産だから課税する。無申告加算税もだ。」等と述べ、ついでに古い家も固定資産税額より1000万円以上高く評価して、約3500万円の課税をしてきた。

そこで、長男は、原処分庁である所轄税務署に異議申立をなし、さらに、国税不服審判長に審査請求をなし、それでも国自らが処分の取消をしてくれなかったので、やむを得ず、国を被告として税務訴訟に踏み切らざるを得なかった。

長男の主張の骨子は、

(1)2重課税だ。資産を有していなかった長男が、相続により金持ちになったから、求償権は資産となるという税務署の論理は2重課税になる。

(2) 混同により求償権は消滅した。長男が遺言により父親の有する求償権を相続し、債権と債務が同一人に帰したから消滅した。

税務訴訟はどうなったかですが、何と第1回口頭弁論期日の3日前に、長男から私に電話がありました。「○○税務署の人が来て、お金払ってあげるから振り込み口座を教えてくれと言うんだけど、教えていい?」と。所轄税務署に聞くと、「すべて主張どおりに支払う。利息もつける。そういうことになった。お金は10日以内ぐらいに支払われる。」という回答。

拍子抜けしました。

理由はと聞くと、「二重課税になるという見解だから。」と悔しそうに答えました。

第1回口頭弁論期日、合議体でした。

国側代理人は、訟務検事が3人も来ていました。

直前に提出してきた答弁書には、「既に相続税の更正通知書及び過少申告加算税の賦課決定通知書を送達したところであり、…本件訴えは不適法なものというべきである。」

この訴訟をしたから税務署が更正等をしたのに、本件訴えは不適法とは、どの口でいえるのだろうか。訟務検事は取下げを要求したが応じず、訴訟費用は被告の負担とするとの判決をもらい、訴訟費用を回収しました。

このように、判決には至らなかったけど実質勝訴したというケースはありませんか?

ぜひお教え下さい。

ところで、噂の真相ですが、長男にも何と弁護士にも税務調査が入りました。

スッポンのような税務官で四苦八苦でした。こんなこと、ありですか。

それでもめげずに税務問題に取り組んでいきたいと思います。