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コラム

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人はなぜ騙されコントロールされてしまうのか

2012年06月05日 カテゴリー:民事

本屋へ行くのは楽しみだ。5月にはオリンパスもの3冊「解任」「サムライと愚か者暗闘オリンパス事件」「オリンパスの闇と闘い続けて」が並んで平積みされていた。 その後、本屋へ行くと、木嶋佳苗被告人に関する本が4、5冊と、紀藤正樹弁護士の「マインド・コントロール」が平積みされていた。それらの何冊かを買い、「マインド・コントロール」を読んでいたところに、オウム真理教の菊池直子逮捕というニュースが飛び込んできた。

オウム事件が報道されていた当時、「息子がオウムに入信して、戻ってこないが何とか連れ戻す方法がないでしょうか」という相談を受けた。1人は国立K大1年生で兄弟の中で一番頭が良く、素直な良い子だった(仮に、Kと呼ぶ)。父親は名前の知れた会社社長。もう1人はA大1年生(仮に、Aと呼ぶ)。父親はマスコミ勤務で資産家であった。
頭の良い資産家の息子を狙ったのかとさえ思ったのは、オウムが、入信した人に遺言を書かせているという説もあったからである。

麻原が逮捕された。サリンを使用した事件の頃、ロシアへ行かされていて重罪を免れたが、有印私文書偽造・同行使罪で上祐が逮捕された後、Kは上祐の養子になってしまったことを、両親は公安警察から知らされた。身柄拘束された上祐のメッセンジャー役を務めていたと思われる。
Kは、その後、逮捕され、逮捕勾留期限の23日後に処分保留のまま釈放され、名古屋の実家へ戻ってきた。両親は大喜びした。「うちの息子もようやく目が覚めました。K大にもう1回行くと言ってくれました。」と報告してきた。
しかし、数ヵ月後、Kは、「K市に行ってくる」と言って親からお金をもらって家を出たが、それっきり戻ってこなかった。後で、手紙がきて、「バイバイ」と書いてあったとのことである。そして、今だに戻っていない。

Aが、上九一色村に居ることを公安から聞いた両親は会いに行き、姿を見かけることができたが、話をすることはできなかった。彼は逮捕はされていない。2度ほど、祖母に会いたいという連絡があり、お金をせびっていったが、結局、戻っては来ていない。やはり、真面目でいい子であった。

紀藤弁護士の本に書いてあるとおり、逮捕された後、戻ってきたKにはカウンセリングができる人をつけるべきであったと思われるが、名古屋地区でオウム信者をカウンセリングして、自らの信じることが誤っていることを諭してくれるカウンセラーが見つからなかった。
統一教会の場合は、キリスト教の牧師さんでカウンセラーとして有効な力を持っている人が名古屋地区におられた。オウムはキリスト教でも仏教でもなく、麻原教であったため、連れ戻す有効な手段がなかなかなかったのである。
また、教団に戻った子どもに親側からコンタクトを取るのも不可能に近かった。

当時、オウム真理教と知らず、マンションの2室を個人名の人に賃貸したところ、オウム真理教の信者達が10数人入り込み、不気味だから退去させたいという大家の代理人にもなった。任意に退去してくれないので、明渡しの裁判をせざるを得なかった。勝訴判決を得て、執行官と鍵屋と共に現場へ行った。ドアを開けて中を覗くと、10人くらいの人がヘッドギアというものを頭につけて呪文のように「修行するぞ、修行するぞ」と言いながら体を動かしていた。責任者だという男性がきたので、執行官に話をしてもらい、明渡しの約束をとり付けることができ、何とか平穏に明渡してもらえたこともある。
菊池直子被疑者は17年間の逃亡生活に疲れ果てたように痩せていたが、たぶん、パシリとスポーツ広告塔に使われたのであろう。

それにしても、なぜ人はこうもやすやすと騙されたりマインドコントロールされたりするのだろうか。統一教会から二束三文の大理石の壷を高く買わされた女性や、入信して絵画やネクタイを売っていた若者、オウム真理教に身も心も捧げて殺人まで犯してしまった優秀な人達などだけではない。占い師の言うがままになってしまったと思われるオセロの中島さんだけではない。木嶋佳苗被告人に騙された男性達だけではない。どんなに強い人でも、病気になったり、心が弱った時に、ふと何かにすがりたいと思ってしまうのだろう。

NHKスペシャル「オウム真理教」で、麻原の巧みなマインドコントロール術の一部を説明していた。騙したりコントロールしようとする側の術を知り、かつ、それを見破り打ち勝てる力をどうしたら身につけることができるのだろうか。