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コラム

カルテのないC型肝炎患者の闘い

2016年12月09日 カテゴリー:C型肝炎給付金請求訴訟

~弁護士北村明美のC型肝炎コラム~

 

 

 

―国は「原告に、高度の蓋然性までの立証責任がある」と主張―

―原告がC型肝炎に感染したのは、注射器等連続使用の予防接種によるものか―

 

カルテの残っていない原告の方々のC型肝炎訴訟においては、悪辣な補助参加人田辺三菱だけではなく、被告国も、原告らをせせら笑い、石を投げつけるような言動をしている。

 

原告らは、C型肝炎で苦しむだけでなく、本件訴訟において、立証するためにのた打ち回るほど苦しんでいるのである。

 

原告ら代理人弁護士北村明美は、医療過誤事件にも携わってきたものであるが、本件カルテの無いC型肝炎訴訟は、医療過誤事件以上の困難さがあると感じざるを得ない。

第1に、医師の協力がなかなか得られないということである。医師は頭が良く、自らが投与したフィブリノゲン製剤によりC型肝炎ウイルスに罹患したことになると、自らの責任も問われると考えるからである。

また、証人になれば、国や製薬会社からしつこく尋問されるということを、せまい医師業界の中で聞いているからでもある。

第2に、医師も医療関係者も亡くなっていることが多いことである。

第3に、C型肝炎と命名されたのが、平成になってからで、C型肝炎と診断されることが、フィブリノゲン製剤投与時期から何十年も経てからであることが多いことである。

第4に、C型肝炎特別措置法は、平成20年1月にできたが、実際にフィブリノゲン製剤を投与された時から30年も40年もたっていたからでもある。

第5に、原告側には、情報収集に限度があるが、国は医師資格のある官僚を擁し、総務省等に問い合わせればすぐ答えてもらえるという情報収集力が格段に高いことである。

第6に、と挙げていけば、涙が出るほど辛い。

第7に、病態の立証すら困難なケースもある。

 

それにもかかわらず、国は、原告が本人訴訟をした大阪地裁、大阪高裁の判決などを提出して、【C型肝炎特別措置法所定の要件事実は民事訴訟の証明責任の原則に従い、原告が高度の蓋然性をもって立証しなければならない】と主張する。

「高度の蓋然性」という文言は、民事訴訟法には、存在しない。

アメリカの訴訟においては、高度の蓋然性まで要求していない。アメリカでは2分の1より大きい立証であればよいとされていると聞く。

そして、対日本国の訴訟などで高度の蓋然性までの立証を求める日本の裁判所に対して、30年以上前から弁護士会などが批判している。

カルテが存在しないことについても、医師等が死亡したことについても、全く責任のない原告に、高度の蓋然性まで立証責任を課すのは、日本の裁判所が間違っている。法律が間違っている。

カルテが存在しないことは、医師法でカルテの保存期間をわずか5年と規定しているからであって、国の責任である。

医師法の改正は今もなされておらず、カルテの保存期間をわずか5年とさせ続ける国の責任は大きい。

 

また、被告国は、「C型肝炎ウイルスの感染源は、具体的に判明している感染経路に限っても、輸血、血液製剤、滅菌が不十分な医療器具(装置)による医療行為、血液透析、医療従事者の針刺事故、鍼治療、刺青、注射器の回し打ち、ボディピアスの共用、母子(児)感染、夫婦感染、家族内感染などが指摘されており、輸血及び血液製剤の投与に限られるわけでも、医療行為に限定されているわけでもない。」と主張している。

C型肝炎ウイルスは、血液よって感染するものであることは、明確である。

C型肝炎ウイルスは、感染力が弱いので、家庭内感染はほとんど報告されていない。母子感染すらほとんどないと報告されている。

 

滅菌が不十分な医療器具である注射器の連続使用によって、原告らがC型肝炎に罹患する確率の方が高い。

すなわち、被告国や裁判所が、原告らにフィブリノゲン製剤の投与を認めないのであれば、原告らは、刺青も、覚醒剤もしていないのであるから、注射器の連続使用、すなわち、予防接種によってC型肝炎に罹患した可能性が、最も高いのである。



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