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コラム

C型肝炎訴訟 カルテのないC型肝炎患者の闘い(12)

2014年12月05日 カテゴリー:C型肝炎給付金請求訴訟

C型肝炎訴訟 製薬会社の立ち位置

カルテが残っていないC型肝炎訴訟には、製薬会社が補助参加している。
国が敗訴したり、賠償金を支払うとの和解をすると、その賠償金のうち3分の2を製薬会社が負担するようである。

原告がフィブリノゲン製剤やフィブリン糊による薬害C型肝炎だと主張すると、田辺三菱製薬㈱が補助参加してくる。
原告がPPSBニチヤクによる薬害C型肝炎だと主張すると、日本製薬㈱が補助参加してくる。

あのミドリ十字は、吉富製薬と合併して法人格が消滅した後、医薬品業界の大規模な再編が進む中で三菱ウェルファーマ社となり、現在、田辺三菱製薬㈱となって、今も生きている。

 

カルテがないC型肝炎訴訟において、最も、先駆けて提訴した東京では、3名の原告の方が国と和解している。

その中のBさん(小国公立病院にて出産)について、看護師と担当医師の証人尋問を終わって、和解の機が熟していたところ、
突如として、田辺三菱製薬㈱が、「小国公立病院には、出産当時、フィブリノゲン製剤が存在しなかった」と主張し、
出産の年から遡って4年分のフィブリノゲン製剤納入リストを提出してきた(フィブリノゲン製剤の有効期間は3年となっている)。

東京の原告団や弁護団は、怒りを持って反論した。

名古屋の原告さんが手に入れてくれたT病院の昭和55年から平成の代までのフィブリノゲン等の納入リストには、
「納入実績資料のお取り扱いについて」と題する書面がついており、その書面には、

①特に1980年代には、手書き伝票を手作業でコンピュータに入力されていた
データがあり、入力ミスの可能性がありますこと。
②特約店の医療機関コードと弊社の医療機関コードにマッチングミスの可能性
がありますこと。
なお、弊社のデータが、1980年以降のものしかなく、1979年以前につきましては資料がございませんので、この点もご留意お願い申し上げます。

という記載があることから、そもそもフィブリノゲン製剤納入リストは不正確なものである。

厚生労働省医薬食品局血液対策課の「国立病院等におけるフィブリノゲン製剤投与に係る診療録等の精査状況等の調査結果について」及び
「平成23年度及び平成24年度フィブリノゲン製剤納入医療機関に対する訪問調査の結果について」においても、
「ここに記載されている期間以外でもフィブリノゲン製剤が対象医療機関に納入されている可能性は否定できないため、必ずしも正確な納入本数ではない場合があります」と記載されている。

さらに、同課の「C型肝炎ウイルス検査受診の呼びかけ(フィブリノゲン製剤納入先医療機関名の再公表について)」においても、

①「二次卸等」は、フィブリノゲン製剤納入先として三菱ウェルファーマー社の納入先に記載されていた医療機関以外の施設です。これらの施設を経由してフィブリノゲン製剤が医療機関に納入された可能性も否定できない、
②フィブリノゲン製剤納入先のデータは昭和55年からしか存在しないため、公表医療機関において昭和55年より前にフィブリノゲン製剤が使用されていたかどうかは不明です。
また、今回の公表医療機関以外の医療機関においてフィブリノゲン製剤が使用されていた可能性も否定できません。

と記載されている。

 

以上によれば、フィブリノゲン製剤納入リストに記載されているものは、最小限のもので、それ以上に納入されている可能性は十分あるものである。

田辺三菱は、原告らや証人医師を陥れようとして、当該出産・手術時期の過去3年分しか提出してこない。異議を述べても、一向に提出してこない。

C型肝炎特別措置法は、C型肝炎ウイルスが入っている可能性がわかっていたにもかかわらず、国が安易に認可し、ミドリ十字が問屋を通じて有用だと宣伝して医院等に売りつけたことについて、
被害者に対し、心から謝罪し、被害者を速やかに救済するために制定された法律である。

しかし、訴訟における対応を見る限り、製薬会社は被害者に心から謝罪しているということは微塵も見えない。



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