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コラム

第一生命の詐欺事件

2020年11月24日 カテゴリー:コラム

第一生命の詐欺事件(89歳の元社員女性に総額で約19億円も顧客が騙し取られた事件)が報道され、大きな問題となっています。

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私もよく似た事件を15年ほど前にやったことがあります。
騙した女性は、大和証券名古屋支店の社員(19年勤続のベテラン)でした。
私は被害者9名、他の弁護士が被害者10数名を抱え、一緒に提訴しました。

大和証券の代理人は、東京からの弁護士も応援しに来ており、被害者一人一人に尋問を要求しました。

第一生命の事件と同じく、預かり証なるものをどんどん発行しており、年利は6%でした。

大和証券の代理人は、
「今頃、6%もの利子がつくことはない。
大和証券とは関係なく、欲に目がくらんでお金を預けたのだ。」
という論調で攻め立てるので、被害者の人たちは悔しがり、落ち込みました。

結局は、裁判所の和解勧告で大和証券が約4割5分賠償しました。

加害者について、私は9名の告訴状を作って、名古屋の中村警察へ告訴しに行きました。
すると、愛知県警から応援に来ていた知能犯係の警察官が
「この事件はもう知っていますよ。9人もやっていたら、
いつになったら起訴できるかわからないから、
確実に詐欺だといえる人1人に絞ってくれ。この人がいい、1円も返してもらっていないから。」
というので一人(被害者は80代の女性。騙されたお金は約9000万。大和証券名古屋支店のそばの地下鉄の階段の踊り場などで加害者にお金を渡していた。)に絞りました。
他の弁護士の被害者を含めて立件されたのは被害者3名だけでした。

加害者は、被害者Aさんから預かったお金を返すために被害者Bさんから
預かったお金を回すなど自転車操業をしており、株を買ったりしてはいませんでした。

そのことを警察官は立証するために、お金の動きを調べていくため大量の資料と、大量の時間を要したとのことでした。

弁護士から見れば一見して詐欺だと思う事実を、警察官はすごい労力をかけて立件するんだな、と半ばあきれました。

加害者は短歌が得意で謝罪の手紙も何人かに送ってきて、それには必ず短歌がつけられていました。
加害者の家族も、アメリカに遊びに行くなど優雅な生活をしていたので夫も訴えましたが、立証しきれず、夫については請求棄却となりました。

第一生命の事件では週刊誌でもほかの雑誌でも取り上げられているので、
私の手掛けた大和証券の事件よりももっと立証が容易だと思います。
これだけマスコミから証拠が出てきており、
これによれば、第一生命の管理不行き届きは明らかなので、
第一生命が被害者に被害金額全額を賠償すべきだと思います。
しかも第一生命は資金力が高いです。被害者が救済されることを願うばかりです・・・

 



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