自筆証書遺言の保管について
2018年12月17日 カテゴリー:コラム
今回は、自筆証書遺言の保管制度について、みてみたいと思います。
この制度は、今回の改正により創設された制度ですので、ぜひご確認ください。
(1)制度
自筆証書遺言は、遺言者が作成し、そのまま遺言者の家で保管することが一般的だといえます。
そうすると、紛失したり、他の者に偽造されるなどの危険に常にさらされることになりますし、
そもそも遺言の存在や有効性をめぐって紛争が生じやすいという欠点がありました。
遺言という性質上、遺言者が、自分が作成した遺言をどこに保管したかなどを公言することはほぼなく、
遺言者以外どこにしまったか分からなくなってしまい、見つからないなんてことも起こってしまいます。
そこで、改正法においては、自筆証書遺言を法務局に保管する制度が創設されることとなりました。
これにより、紛失や偽造の危険にさらされることなく、安全に保管されることとなり、
存在や有効性をめぐる紛争は起こらないと思われます。
(2)保管手順
法務局への保管手続きですが、
①自筆証書遺言を法務局に作成者本人自らが出頭、持参し、
②法務局において厳格な本人確認をされたうえで、
③遺言書の原本を保管してもらう
という流れになると思われます。
以上のように、自筆証書遺言の保管という事の性質上、作成者本人の厳格な本人確認が求められるため、
絶対に本人が出向く必要があり、代理人による方法は認められないことになると考えられます。
そうだとすれば、作成者本人が病気等の事情で法務局に直接出向くことができない場合は、
代替制度が用意されていないので、この保管制度を利用することはできないという点に注意が必要です。
なお、保管費用は数千円程度で済むと言われており、利用しやすく、また、この制度を利用した場合、
相続開始後の裁判所による確認(検認)が不要なので、非常にスムーズな手続きの進行が期待されます。
この保管制度の施行日は、2020年(平成32年)7月10日です。