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コラム

C型肝炎訴訟 カルテが残っていない薬害C型肝炎患者の闘い(28) ~新しい裁判長はなんかすごい~

2018年06月12日 カテゴリー:C型肝炎給付金請求訴訟, コラム

C型肝炎訴訟 カルテが残っていない薬害C型肝炎患者の闘い(28)  ~新しい裁判長はなんかすごい~

 

薬害C型肝炎訴訟は、フィブリノゲン製剤等の止血剤を投与されたという立証が必要なため、カルテの無い場合、極めて困難な訴訟となっている。

以前、エリート街道を歩き、鯉の滝登りのように出世しているF裁判長の民事○部に係属して困った、どうしようということを書かせていただいた。

2018年5月、○部で裁判期日が開かれた。なんと、裁判長も左陪席も代わっているではないか。後で調べたところ、エリートF裁判長は、名古屋高裁事務局長になっておられた。最高裁の司法行政から2016年4月1日に名古屋高裁に戻り、その後、名古屋地裁の部総括になって、DV偽装事件で、妻がDVであると主張したのは虚偽であり、それを見逃した愛知県にも違法があるとして、妻と愛知県に異例の賠償責任を認めた判決、高配当をうたい社債販売した投資会社役員に対し賠償責任を認める等の判決をして、わずか2年で、司法行政に戻っていったのである。

代わりに来た裁判長はどんな方だろう。エリートではない普通の裁判長ならいいなと思っていたが、なんかすごい裁判長であった。

原告Aさんは、出産の際、大量出血でフィブリノゲン製剤が使われたと思われるケースであったが、43年前のことなので、カルテは残っておらず、出産に立会った医師も既に亡くなっており、その息子さんである医師も既に亡くなっていた。孫である医師が今は有名大学の教授となっておられ、その産婦人科教授が生存していた父医師と相談して、母子手帳に「輸血1000cc、輸液1500ml」等と書いてあるのを見て、こういう状況であればフィブリノゲン製剤を使った可能性が高いという書面を作成してくださったのである。

新裁判長が、「もっと詳しく書いてもらえませんかね。確実に使ったというようなものを書いてもらえませんか。」「あとは、証人尋問くらいしかないんですか」等と言うので、唖然とした。

担当医師の孫医師は、その当時、医師でもない幼い子供だったので、その病院の当時の方針からみれば、フィブリノゲン製剤を使った可能性が高いと書いてくれるのが精一杯なのだ。証人になってもらえるのなら、そんなありがたいことはないのである。

C型肝炎特別措置法の趣旨も、これまで民事4部で積み重ねてきた訴訟のやり方も、全く理解していない、効率だけを考える裁判長のように感じられた。

また、こちらからは国に対して証拠提出命令の申立をしていた。新裁判長は、対象物の特定が十分なされていないと散々ケチをつけ、排斥しようとした。国代理人のほうが慌てて立ち上がり、「こちらでも出せるものはできる限り出しますので・・・」ととりなしてくれた。

非常に焦った原告弁護団は、スマホを頼って新裁判長を検索してみた。(東大卒、ある大きな訴訟で、原告らがそれまで毎裁判期日に意見陳述をしてきたにもかかわらず、新裁判長になったら、「意見陳述は必要ない」という訴訟指揮をした。それに対して、多くの批判がなされていた。)

裁判官によって、勝てるものまで負けてしまうことがあることを見聞きしているし、自身も経験している。

さぁ、どうしたものか。悩みは深い。

元々、カルテの無いC型肝炎訴訟は、名古屋地裁の医療専門部である民事4部で約5年間訴訟してきたという経過がある。民事4部と民事○部の2つに係属すれば、無駄な労力を被告国もかけられるし、訴訟指揮や判決が異なってしまうと国としても好ましい状況ではないと国代理人も考えている。すべてを医療専門部である民事4部で審理することが正しい道なのである。



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