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婚外子相続差別は違憲

婚外子相続差別は違憲

2013年9月4日、最高裁は、「婚外子差別は法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」と初めて判断しました。
この最高裁の判断により、民法990条4号ただし書の規定で定められていた、嫡出子の相続分の2分の1とされていた非嫡出子の相続分が平等となります。
ただし、判例変更に伴う混乱を防ぐため、2001年7月から今回の決定までに相続が発生し、裁判や当事者間の合意で決着がついている相続は覆らないと異例の言及をしました。

非嫡出子という言葉自体、差別だという方も多いです。
国会は、2013年12月5日、民法改正し、非嫡出子と嫡出子の相続分を平等にしました。

相続差別のほかに出生届の記載欄にある差別や税金面での差別について改めていく方向になるのではないではないでしょうか。

婚外子による遺言無効の判決の事例

O・Sさん(34歳)は、次のように述べています。

「非嫡出子として生まれ、小さい時には父なし子といっていじめられてきました。
2011年11月10日に父親が死亡しました。 2008年3月には、父親は認知症が極めてひどくなった状態でした。
ところが、嫡出子であるA(62歳、高校教師)とB(57歳、市役所職員)は、認知症の父親に、私や母親が悪いヤツだと連日言い聞かせ、自分らにすべてを相続させる公正証書遺言をつくらせたことが、父親の死後判明しました。
私は、現在、遺言無効確認の裁判をしていますが、最高裁の非嫡出子相続差別は違憲という決定が出たという報道をみて、私を踏みつけにしてきた嫡出子に倍返しができると思っています。
私も民法の規定は憲法14条違反だという裁判を10年かかってもやるつもりだったからです。
もうすぐ遺言無効確認訴訟の判決がなされます。裁判官に良心があることを祈っています。」

「2014年9月、二審の名古屋高等裁判所で遺言無効の勝訴判決を得ることができました。
父親が認知症のため、遺言能力がなかったことを立証する等、大変苦労しましたが、弁護士の北村明美先生がよく頑張ってくれたおかげで、勝訴することができました。
これからいよいよ遺産分割の調停です。一審の名古屋地裁岡崎支部では、敗訴したのです。
公正証書遺言が無効という判決をもらうことは、とても難しいことがわかっていたのですが、北村明美先生と一緒に粘り強く頑張りました。」

解決

2015年9月、O.Sさんは遺産分割の調停で、法廷相続分3分の1である約3,000万円を手にすることができました。長い長い裁判でしたが、O.Sさんの顔は本当に晴れ晴れとしていました。後に、O.Sさんは自宅を購入し、田舎から、母親と犬3匹を呼び寄せたとのことです。

改正民法の成立

2013年12月5日、婚外子(非嫡出子)の遺産相続分を、法律上の夫婦の子(嫡出子)の半分とする規定を削除する改正民法が、ついに参院本会議で可決・成立しました。
最高裁が9月、同規定は法の下の平等を定めた憲法に違反すると判断したのを受けた措置になり、婚外子と嫡出子の相続分は原則同じになります。
また、改正法の付則に基づき、法施行前でも最高裁決定後に開始した相続ならば、さかのぼって適用することができます。

(参考:2013.12.5 日本経済新聞 日刊)



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