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争いを激化させる遺言

争いがおこらない遺言作成が大切!

せっかく遺言を作成しても、遺言がかえって争いを激化させたという場合もあります。
たとえば、農業や商売の跡継ぎのことを配慮しなかった遺言愛人とその子にすべて遺贈・相続させ、本妻側を配慮しなかった遺言などです。
また、遺言を作成するに当たり、親不孝な次男にはあまり相続させないような遺言にしようとしていたところ、 次男がそれを察知して殺し屋を雇って父親を殺したのではないかという事件報道もありました。
せっかく作る遺言ですから、そんなことのないように気をつけましょう。

農家の長男を廃した遺言のケース

私と両親との間がうまくいかなかったのは、両親の反対を押し切って小夜子と結婚した時からだと思います。
私には姉さんが二人いるだけなので、末っ子の長男です。当然、家の跡を継いで農業をやっていくつもりでした。
小夜子のどこが気に入らないのか、両親は小夜子につらくあたりました。どうにもならず、結婚後1年半で妊娠中の小夜子を連れて両親と別居しました。
N市のアパートを借り、私は鉄筋工をして一生懸命働きました。
2人目の子どもも生まれ、親子4人ささやかだけれど賑やかな生活が続きました。

ところが6年後、家に戻ってきてくれと、姉2人が頼みに来ました。父親が中気で倒れ、退院しても半身マヒが残るため農業ができないというのです。
小夜子と両親との不仲を思い出すとなかなか戻る気にはなれませんでした。
しかし、父親の兄弟たちも訪ねてきて、戻ってきてくれと頼みます。 よいよいになった父親までもが、車に乗せられて安アパートに訪ねてきました。
ホロリときた私は、「今後は決して小夜子をいじめないようにさせる」という姉さんの言葉を信じて両親の住む家に戻りました。

私は農業が好きです。小夜子も働くことは好きで、ハウス栽培や米作りを一生懸命手伝ってくれます。
でも、家の中は、やっぱりうまくいかず、疲れて帰ってきても両親は小夜子の悪口ばかり言うという日が度々あり、ついカッとなって「うるさい」と大声で怒鳴ったこともあります。

そして、3年前、父親は肺炎で亡くなりました。私は跡継ぎとして葬式もし、税理士さんに頼んで相続税の申告もし、相続税の全額も払いました。 全部、私が相続できるものと思っていたからです。

ところが、母親と姉二人に判を押してほしいと言ったところ、遺言を出してきたのです。
「息子には何もやらない。妻と娘2人に相続させる」という遺言でした。 実の息子になんでこんな仕打ちをするんでしょう。
倒れた父親のために帰ってきて、汗水たらして農業をやってきた長男を、なぜこんなに追いつめるんでしょう。
私は徹底して闘います。

農業をやってきた跡継ぎをまったく廃除した遺言は、かえって熾烈な争いを招いてしまいました。
少なくとも、遺留分や住居に配慮した遺言にしてほしいと思います。



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