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事例紹介4

内縁の妻の私が働いたからできた財産です

村田友子さん(57歳)の場合です。
主人が戸籍上の奥さんと一緒に暮らしたのは4年もありません。私も一緒に働いたからこそできた財産をよこせだなんて・・・。

死に水をとったのも私

私は単なる愛人ではありません。主人とはもう33年もの間一緒に暮らし、商売も一緒にやってきました。
預金もすべて奥さんの元において、身1つで主人は私と一緒になったのです。
最初は2坪の店から始め、2人で人の2倍も3倍も働きました。
そのおかげで市内に立派な店と自宅を持つことができたのです。

主人が戸籍上の奥さんと一緒に暮らしたのは4年もないそうです。
子どもも奥さんには1人だけ、私と主人との間には3人もあります。
私に子どもができたころ、主人は何度か奥さんの元へ足を運び、頭を下げて別れてくれるよう頼みました。
でも奥さんはけんもほろろで主人を追い返したそうです。
それ以来主人と奥さんの間にはほとんど往き来がなく、主人の死に水をとったのも私です。知らせたにもかかわらず、奥さんは葬式にも顔を見せませんでした。

ところが1ヶ月ほどして奥さんから頼まれたという弁護士が訪ねてきました。
奥さんは妻だから法定相続分が半分ある、子どもの分の5分の1もあわせたものとして、店か自宅のどちらかとお金をよこせと言うのです。
そして私には相続分がまったくないと言います。そんなことが通るのでしょうか。
とうてい納得できません。私も一緒に働いたからこそ、できた店と自宅です。
その半分は私のものなのに、名義が主人のものだからよこせだなんて、決して許せません。

解説

内縁の妻の相続権

「内縁」とは、社会的には婚姻と評価されるのですが、婚姻届が出されていないため、法律上の婚姻として効果を持たない男女関係と言います。
単なる愛人関係とも異なります。
夫婦別姓を貫きたいため婚姻届を出さない夫婦も「内縁」ということになります。
このケースは、内縁の夫に法律上の妻がいるため、「重婚的内縁関係」と呼ばれます。

相続権は?

遺言がない限り、婚姻届を出していない内縁の妻は法定相続人ではなく、相続分もありません。何十年一緒に暮らしていようと、「婚姻届」を出していないとダメなのです。
事情があって婚姻届を出していない場合は、ぜひ遺言を作成しておいてもらってください。
また、このケースのように一緒に働いてつくってきた財産なら、共有名義にしましょう。
日本では男性の顔を立てるため、土地建物を男性の単独名義にすることがまだまだ多いのですが、男性と別れる時や死亡した時に困ることが起きてしまいます。
遺族年金を受給する権利については、内縁の夫の死亡当時、その収入によって生計を維持した者として重婚的内縁の妻に認められることもあります。
内縁の夫が交通事故で死亡した場合、加害者に対し重婚的内縁の妻が慰謝料を請求することもできます。



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