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コラム

相続法が変わった(2)自筆証書遺言書保管制度のメリット 遺言が有効か無効かの争い

2021年02月09日 カテゴリー:コラム, 遺産相続

相続法が変わった(2)

自筆証書遺言書保管制度のメリット

1.遺言が有効か無効かの争い

ここ数年、遺言が有効か無効かが争点となる事件を何件かやっている。

(1)自筆証書遺言

①自筆証書遺言は、偽造したと疑われて、争われやすい。

・筆跡鑑定が行われたのは一澤帆布事件は有名である。

・養子縁組届の養親欄に、父親から頼まれて息子が代筆した。

父親の昔の愛人の子から養子縁組無効確認訴訟が提起され、当然敗訴。

さらに、愛人の子は、自筆証書遺言無効確認訴訟を提起。

その遺言は、病気をした後、真実、父親が自筆で書いた遺言だった。

しかし、病気をした後だったので、達筆だった筆跡は見る影もなかったが病気前の筆跡に似ていた。筆跡鑑定が行われ、父親の筆跡ではないという結果が出てしまい敗訴。

ここまでは、他の弁護士が息子さんの代理人であった。

2件の敗訴判決のあとを私が引き継いで、文書偽造罪で告訴された刑事事件や損害賠償請求事件、遺産分割事件など長くてつらい闘いの代理人をしたことがある。

②自筆証書遺言は、被相続人が遺言に書いておいたからと言い残していったが、死後、探しても見つからないということがある。

③自筆証書遺言の内容が家訓や説教ばかりで、誰に何を遺贈するのか書いてないものもあった。

(2)そのため、多くの弁護士は、少し費用がかかるけれど、公正証書遺言にした方が確実ですよとアドバイスしてきた。

実際、公正証書遺言の無効を主張して、勝訴できる確率は低い。

公正証書遺言を無効とした裁判例多いようにみえるが、それは無効とした裁判例の多くが公刊物に載っているからだと思われる。

なぜなら、作成した公証人も立ち会った証人も

「口授はあった」「うなずき遺言ではなく、遺言者はかくかく発言した」

「よく理解していて、何ら不自然なところはなく、遺言能力がないとは

思わなかった」等と証言するからだ。

私は30年以上弁護士をやっているが、公正証書遺言無効を争って、勝訴(勝訴的和解を含む。)したのは2件だけである。重い認知症で遺言能力がないと裁判所が判断してくれたケースであった。

 



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