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先に受贈者が死亡した場合にも、死因贈与契約が有効

2015年11月27日 カテゴリー:ニュースコラム

平成27年2月17日、水戸地方裁判所にて、死因贈与契約について、贈与者よりも先に受贈者が死亡した場合にも、死因贈与契約が有効として受贈者の相続人に財産の取得が認められる、という判決が出ました。(判例時報2269号p.84)

本件は、死因贈与契約を結んでいたとある親子の事例です。
受贈者である息子が財産を貰う前に死んでしまいましたが、死因贈与契約を生前に結んでおり、かつ贈与者である親も亡くなったのであれば、死因贈与契約により、息子は財産を手にするべきであり、息子の相続人はその財産を手にすることができる、という判決です。
親より子供の方が長生きするとは限りません。死因贈与契約の重要性が強調される事例となりました。

婚外子の相続分2分の1に、最高裁が違憲判断下すか?

2010年11月22日 カテゴリー:遺産相続

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~弁護士北村明美(名古屋)の相続コラム~

 

2010年11月19日の新聞に「顔の傷 男女の補償平等に」という記事が載った。京都地裁の違憲判決の力によって、男女差別が撤廃されることになったのだ。本当によかった。

1947年施行された労災保険法が60年ぶりに見直されることになった。

男性への逆差別がなくなり、外貌醜状について、男女とも重症なら7級、軽症なら12級に統一し、中程度の病状なら9級を新たに設けることにするという検討会の報告書案が示されたというものである。
過去に交通事故で顔に5cm以上の線状痕が残ったA男さんや美容院の脱色剤で頭部が化学やけどになり手術を3回しても大きな傷が残ったB男さんにも遡って適用されるといいのにと思うが、多分無理だろう。

日本国憲法が施行され、憲法第14条が生まれたのは、1947年5月3日。相続事件では、廃止された家制度が生きていたり、男子のみに相続させる遺言がでてくる。「嫡出に非ずの子」は民法上法定相続分が嫡出子の2分の1である。

2010年7月10日の新聞を見ると「婚外子の相続分「半分」規定 最高裁、違憲判断か」という見出しが目に飛び込んだ。 平成7年以前、違憲とした地裁判決はあったが、平成7年7月5日、最高裁判所は、「非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1としたことは、法律婚の尊重と非嫡出子の保護との調整を図ったものであり、合理的理由のない差別とはいえず、憲法14条1項に反するとはいえない」と判示した。
一方で、民法を改正して平等にしようという機運が法務省参事官室も含めて起こっていた。しかし、改正案には選択的夫婦別姓の規定も含まれていたので、時の政権の古い議員達の強固な反対にあって民法改正は頓挫し、現在まで平成7年7月5日の最高裁判決が生きている。それをやがては、大法廷で違憲と変更をするのではないかというのが、今回の新聞記事である。

現実に今係争中の事件で婚外子の代理人である弁護士から「相続分を嫡出子と同じにしてもらわなければならない。それが認められなければ土地の売却を承諾しない」という主張がなされた。
土地は皆の合意で売却する手はずになったところだった。
この事件は、嫡出子が6人、婚外子が1人というケースである。嫡出子側の代理人弁護士の多数は、良識に溢れているので、「そりゃ子どもに罪はないですからねぇ。憲法14条の精神から言えば、平等の相続分にすべきなんでしょうねぇ。」という考え方だが、クライアントの胸中は複雑だ。
そのとき、ある弁護士が、「じゃあ、負債もそういう割合で負担してもらわなきゃいけないですね」と発言。亡くなった父親は、約2億円の負債を抱えていたが、それはすでに皆で支払っており、婚外子は嫡出子の2分の1の割合で支払った。これから売却する土地が2筆あるが、リーマンショック後、名古屋の土地の値段は下がったので、2億円を大きく下回ると思われる。売却が頓挫すると、名古屋の土地の値段は下がり行く一方なので、悩ましい限りである。

このように、婚外子の相続分が嫡出子と同じにすべきという判決が最高裁でなされると、影響する事案がたくさんあると思われる。子どもの数が少ないと影響も大きい。
相続の分野は、理論で割り切れないことがあったり、最高裁判例に疑問を感じたり、まだまだ解決しなければならない問題が多くあるように思われる。親族間のドロドロとした争いは、ますます増えていくだろう。基礎控除額を減らすという相続税法の改正も予定されており、目が離せない。

 

ぜひ、相続に強い名古屋市(愛知・岐阜・三重)の北村法律事務所 弁護士北村明美(052-541-8111)へご連絡下さい。