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コラム

カルテが残っていない薬害C型肝炎患者の闘い(24)

2017年08月09日 カテゴリー:C型肝炎給付金請求訴訟, コラム

カルテが残っていない薬害C型肝炎患者の闘い(24)

1.C型肝炎特別措置法は時限立法だ。
2018年1月15日までに提訴しないと、C型肝炎特別措置法の適用はされなくなる。
2008年1月に制定され、当初5年間のみということであったが、さらに5年間延長され、2018年1月15日になったのである。

2.「もっと請求期限を延長すべきだ」という論陣を張るのが、鈴木利廣弁護士ひきいる統一弁護団と山口美智子氏を代表とする原告団である。
山口氏は、毎日新聞に意見を掲載してもらっている。
しかし、延長するだけでは、殆どの薬害C型肝炎感染被害者は救済されないままであると、私は断言する。
なぜなら、どんどんカルテは廃棄され続け、担当医師は亡くなり続けており、延長しても、フィブリノゲン製剤、フィブリン糊、クリスマシン、PPSB等を投与されたことを、原告が立証することは、今以上に困難になるばかりだからだ。

3.
(1)私は前から提唱しているが、まず、カルテの永久保存を法律あるいは行政指導で、規律すべきだと考えている。
C型肝炎だけでなく日本において、薬害事件は繰り返しおこされている。何十年後に症状が現れる病気は、肝炎だけではないからだ。
(2)次に、現状の全国の法廷で、薬害C型肝炎被害者が苦しめられている個別立証のやり方を改めることだ。
個別立証とは、各原告が、担当医師に証人になってもらったり、医師が死亡していると、他の医師や、助産婦、看護師をさがして証人になってもらったりして、フィブリノゲン製剤等の投与を厳格に立証することである。
しかし、直接関わった医療関係者が死亡していたり、行方がわからなかったり、協力したがらず、苦しんでいる原告がほとんどである。

原告の中で、一番多いのは、出産や婦人科の手術で出血多量だった方達だ。
出血多量とは出血が500ml(cc)以上のことである。
昭和40年頃から平成3年頃までの間、産婦人科では、出血500ml以上の場合、医師達は、患者が出血多量で死んでしまわないよう、止血に最善をつくした。
昭和39年6月に認可されたフィブリノゲン製剤は、アドナ、トランサミンと異なり、止血効果が感じられる止血の新薬として販売された。
高名な学者や医師達も、フィブリノゲン製剤の使用を勧めた。特に産婦人科では、DIC(播種性血管内凝固症候群といわれ、出血の抑制に必要となる血小板や凝固因子を使い果たしてしまい、血液がサラサラになって出血が止まらなくなる状態)が起きやすいと言われ、分娩室の現場では、出血が500ml以上になり、出血が止まらないと、フィブリノゲン製剤を使っていたのである。
今の個別立証をやめて、出血多量であることが、母子手帳や分娩記録で立証できる原告については、法で定められている給付金額の半分の金額を支払うことで、「早急な一律救済」をはかる方針に変更することを提案したい。

(3)外科手術の場合は、そう簡単にはいかないが、
心臓手術で人工心肺を使う場合、
気胸治療の場合、
腸と腸を吻合する場合、
脳外科手術の場合、
骨をけずり出血が多い場合、
肝臓の手術の場合、
などのケースでは、フィブリノゲン製剤やフィブリン糊が使われている可能性が高いので、これらをメルクマールにして、「早急な一律救済」をはかることにすべきである。

(4)これまで、書面を書いて下さった病院や、法廷で証言された医師達は、
フィブリノゲン製剤の投与方針について次のように述べておられる。
① 名古屋第一赤十字病院
「産中産後の出血量が500ml以上の場合はフィブリノゲン製剤を使用していた可能性はあります。

② 中京病院
「分娩時における出血量が500~1000ml以上の場合フィブリノーゲン製剤を使用していた可能性を否定はできません。」

③ 旧名古屋国立病院
「分娩時における出血量が1000ml以上の場合フィブリノーゲン製剤を使用していた可能性は否定できません。」

④ 金沢大卒のH医師
「そうですね。やっぱり500cc以上の出血のときには、異常がなければ使いませんけれども、意識が薄れてきたり、血圧が急激に下がったりするときには使います。」

⑤ 東北大学卒、独立行政法人国立病院機構仙台医療センターのT医師
(1) 出血量が500ccを超えたと思われる症例にフィブリノゲン製剤を投与した。
(2) 特に産科出血などの緊急時には、大事になる前に先手を打つことが必要であるとたくさんの症例を経験する中でT医師が教えていた。

⑥ 熊本大学卒業のH医師
(1) 500ml以上の出血の場合を大量出血という。
(2) アドナ・トランサミンは大量出血の場合には止血効果が望めず、フィブリノゲンの方が効果があった。
(3) 熊本大学附属病院の産婦人科では、出産に伴う大量出血(500ml以上の出血)の場合フィブリノゲン製剤を投与していたこと。H医師も同様にフィブリノゲン製剤を投与していた。

⑦ その他、岡山大学卒のA医師(函館五綾郭病院等に勤務)も同様に証言しておられる。

以上のとおりなので、500ml以上の出血多量の原告は、法で定められた給付金額の半分でよいので、早急に一律救済を図るべきだと考える。



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